相続税の計算方法は、法律で定められています。
基礎控除を理解したうえで計算をすれば、大まかな支払い金額を算出できます。
ただし、相続税の計算には例外や特例がいくつか存在します。
今回は相続税がいくらからかかるのか、基礎控除と計算方法、実際に相続税を申告するときの注意点を解説したいと思います。

相続税は遺産の総額から基礎控除額を差し引いた価額で決まる

相続税とは、相続する財産に課される税金のことです。
相続税の金額は一律ではなく、相続する財産の価額や法定相続人の数などによって変動します。

相続税には、基礎控除があります。
相続税は、遺産の総額から基礎控除額を差し引いた価額で決まるという考え方が基本です。

相続税の基礎控除額は法定相続人の数によって変動する

相続税の基礎控除額は、3,000万円＋（600万円×法定相続人数）です。

例えば、相続人が「配偶者と子ども2人」の場合、法定相続人数は3人となります。

計算式は3,000万円＋（600万円×3人）＝4,800万円です。

基礎控除の額は4,800万円となるため、相続する財産の額が4,800万円以下であれば、原則として相続税はかかりません。

相続税の計算方法は「遺産の総額－基礎控除額＝課税遺産総額」で算出する

相続税の計算方法は、「遺産の総額－基礎控除額＝課税遺産総額」で算出するのが基本です。

課税遺産総額とは、相続税が課される対象になる遺産の価額のことです。

例として、遺産の総額が8,000万円、法定相続人の数が3人（配偶者＋子ども2人）の場合、まず、基礎控除額は3,000万円＋（600万円×3人）で4,800万円になります。
相続税の計算に当てはめると、8,000万円（遺産の総額）－4,800万円（基礎控除額）＝3,200万円（課税遺産総額）で、この場合の「課税遺産総額は3,200万円」になります。

相続税の速算表は以下のとおりです。

法定相続分に応ずる取得金額	税率	控除額
1,000万円以下	10%	－
1,000万円超から3,000万円以下	15%	50万円
3,000万円超から5,000万円以下	20%	200万円
5,000万円超から1億円以下	30%	700万円
1億円超から2億円以下	40%	1,700万円
2億円超から3億円以下	45%	2,700万円
3億円超から6億円以下	50%	4,200万円
6億円超	55%	7,200万円

この速算表で計算した法定相続人ごとの税額を合計したものが、相続税の総額になります。

法定相続人が配偶者と子ども2人である場合は、法定相続分は配偶者1/2、①子ども1/4、②子ども1/4です。

課税遺産総額が3,200万円とすると、法定相続分に応ずる取得金額は、配偶者が1,600万円、子どもが800万円ずつとなります。

これらの法定相続分に応ずる取得金額を相続税の速算表に当てはめると、算出税額は次のとおり計算されます。

配偶者の相続税：1,600万円（法定相続分に応ずる取得金額）×15％（税率）-50万円（控除額）＝190万円
子ども一人あたりの相続税：800万円（法定相続分に応ずる取得金額）×10％（税率）＝80万円
※1,000万円以下なので控除額はなし

算出された税額を合計すると、相続税の総額は350万円になります。

ただし、実際には「生前贈与財産」や「みなし相続財産」などの財産価額を考慮しなくてはいけないケースもあります。

上記は相続税の計算の基本シミュレーションであり、同じ条件でも実際の税額は異なる可能性があるため要注意です。

相続税を計算し申告するときの注意点

相続税は遺産の総額から基礎控除額を差し引くことで計算できますが、申告漏れがあると追加徴税を支払わなくてはならない可能性があります。

基礎控除額の取り決めにはさまざまな例外や特例もあり、原則どおりにはいかない場合もあるため注意が必要です。

相続税は計算以上に、申告手続きが複雑なことにも留意しなくてはなりません。
相続税の申告には期限があり、過ぎるとペナルティが課される恐れもあります。

相続税をきちんと正しく、期限内に納めるためには、法律の専門家である弁護士に相続手続きを依頼することをおすすめします。

まとめ

相続税がいくらかかるか正確に計算するときは、専門家の知見が必要になることもあります。事前に相談をすることで、相続税を節税できる可能性もあります。
相続税がいくらかかるのか不安なときや節税対策をしたいとき、相続税の申告を専門家に依頼したいときは、弁護士に相談するのがおすすめです。